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OpenWrt 用のミニ PC を調達して OpenWrt をインストール

この記事ではなぜ OpenWrt の環境が必要だったのかという点とどのようにルーターを変えたのかという点を記載しています。既に回線側の準備は以下の記事にて完了しています。 cube309b.hatenablog.com

現状と課題

IPoE 方式で固定 IP を設定できるルーターを持ってなかった

契約上は v6 プラス環境で固定 IP を入手済みなので、あとはルーターに固定 IP を設定すれば完了です。 しかし、IPoE 方式で固定 IP を設定できるルーターは機種が限定されており、当時有していたルーター Synology RT2600ac では設定できないことがわかりました。

ちなみに、設定可能なルーターとその手順は VNE である JPIX にて公開されています。 www.jpne.co.jp

また、en ひかりでも同じ内容が公開されています。 enhikari.jp

市販のルーターだと安くて機能が不足するか、高くて買えないか

設定可能なルーターは安価な機種から高価な機種までピンキリです。 ただ、安価な機種はそのほかの機能 (例えば IPsec VPN や、OpenVPN、WireGuard といった VPN) が利用できなかったり、高価な機種はそもそも高価で手が出ないという問題がありました。 当時検討した機種とその価格は以下の通りです。

メーカー 機種 相場
ヤマハ RTX830 \55,000 前後
NEC IX2106 \50,000 前後
古河電工 FITELnet-F70 \75,000 前後
センチュリー・システムズ NXR-530 Rev2 \80,000 前後

通販最安という希望的価格でも表のとおりで少し手が出せなさそうな状況で困りました。。。

解決策

全てを解決できるルーター OS「OpenWrt」との出会い

そんな折にルーター OS である OpenWrt の存在を知りました。

openwrt.org

OpenWrt は様々なプラットフォームにインストール可能なルーター用の OS で x86 プラットフォームにももちろん対応しています。 そのため、自作 PC のスキルが活かせたり検証用に仮想環境でも動かせるということになるので、急に心が動いて自作でルーターを構築することにしたわけです。

OpenWrt を選んだ理由

x86 プラットフォームに対応している

x86 は PC 用のプラットフォームのためハードウェアの性能が全般的に高く、高性能ルーターが安価に組めると考えました。

OSS でありソフトウェアにコストがかからない

Linux ベースであり OSS です。つまり、ソフトウェアにコストがかからないため、ハードウェアのコストを抑えることができればルーターの費用が劇的に下がる可能性を秘めてました。

やりたい機能が全て開発されていた

プラグイン方式を採用していて、基本機能 (ルーティングやファイアウォール等) 以外は後からモジュールを追加します。 最低でも以下の機能は私にとって必要で、もちろん対応していました。

欲しい機能リスト
● v6 プラス固定 IP 設定
OpenVPN (Server/Client) と WireGuard
IPsec VPN

完成したルーターの構成

構成と費用など
項目 型番/性能等 メーカー 価格 購入先
ベアキット 不明
Celeron N5100、i226 x4、US Plug
不明 \15,000 AliExpress
モリー W4N2400PS-4G
SODIMM DDR4 PC4-19200 4GB x2
CFD \3,400 Amazon
USB ファン 不明
12cm 速度可変ファン
ELUTENG \1,400 Amazon
USB/Console ケーブル MF-CBRJ45USB monofive \1,500 Amazon

※ その他ディスクの代わりの USB メモリー (128MB 以上あれば良いので正直なんでもよい)

パーツ用途や一言コメント
  • ベアキット
    モリー/SSD 無しのベアボーンモデル。OpenWrt のドライバ対応が不安だったので i225-V B3 モデルが欲しかったが手違いで手に入らず (でも動いた)。 Celeron N5105 モデルはおそらく発熱上夏場の常用が厳しいと思うので N5100 がベストな解

  • モリー
    一通りセットアップが終わっても 97% が空きになっていて全く使われず。ただし、このスペック以下のメモリー入手も厳しいので最小限の構成

  • USB ファン
    夏場が心配になってきたので、筐体の上に置くだけ。最低速にしても大分マシになる

  • USB/Console ケーブル (構築時のみ利用)
    コンソールでの操作が可能なためあると便利。なくてもネットワーク経由で設定自体は可能

事前準備

OpenWrt、rufus を入手する
ソフトウェア 備考
OpenWrt 2023/4/17 時点最新。generic-ext4-combined-efi.img.gz
rufus ポータブル版で十分
rufus を用いて、OpenWrt の .gz を USB メモリーに焼く

「焼く=インストール」となり、焼いた USB メモリーを PC に接続して起動すると OpenWrt が起動します。

設定作業

BIOS の設定をする

コンソール接続は本手順後から可能になるので、いったん KVM をミニ PC につないで作業をしてください。 電源投入後 uEFI の設定画面に入ってください。設定後の保存を忘れずに!

設定箇所 設定内容
[Main] System Date&Time 時刻の手動設定
[Advanced]-[Serial Port Console Redirection] COM0 Console Redirection の有効化
作業用端末とミニ PC をコンソールケーブルで接続する

USB/Console ケーブルを Windows パソコンとミニ PC に接続し、デバイスマネージャーで以下の通りに設定します。 ビット/秒を「115200」に変更する形になるかと思います。なお、COM の番号はこの後利用するので覚えておきます。

putty 等のソフトウェアで OpenWrt の起動画面と対面する

putty の Serial 接続設定を以下の通りに設定して接続します。COM の番号と Speed、Flow control の各値を前項とそろえる形になるかと思います。

ミニ PC の電源を投入してコンソール画面上で OS ロゴが見えれば成功です。

ハードウェアの組み立てと OpenWrt のインストールを終えて

こうして OpenWrt インストール済みのミニ PC が出来上がり、コンソール接続できるようになりました。というわけで、次節の OpenWrt 基本設定という話に続いていきます。

cube309b.hatenablog.com


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